インターネットで加入する生命保険の現状がよくわかるライフネット生命の決算

今回はインターネットを活用した生命保険で有名なライフネット生命保険を取り上げます。ライフネット生命保険(以下、ライフネット生命)は戦後初、国内では74年ぶりに国内外の保険会社を親会社としないで2006年に設立されました。

保険外交員を無くす等、業界に一石を投じる形で話題を集めました。また2008年には保険業界ではタブーとされていた生命保険の手数料部分である付加保険料と原価部分である純保険料の比率を全面開示するなど、保守的な保険業界の中では革新的な企業となっています。

ライフネット生命の業績を2016年5月13日に開示されたライフネット生命の決算資料から見ていきたいと思いますが、その前に市場の状況から見てみましょう。

スポンサーリンク

生命保険市場の状況

市場規模

生命保険市場規模

市場規模は年間40兆円を超えるという巨大な市場ですが、色々と変化は起こっています。

インターネットがすぐに想像されるかと思いますが、それだけではありません。

加入チャネルの推移

生命保険市場の変化

インターネットの販売比率はまだごくわずか。人生において非常に重要な生命保険の加入はやはり対面が好まれ、まだまだリアルチャネルが中心です。しかしその中でも保険代理店での加入チャネルが伸びてきています。

スマートフォンの普及もあり、インターネットの販売比率は右肩上がりに伸びていくと思いきや、実は成長スピードは鈍化しています。

市場の成長スピード

ネット生保市場の現状

インターネットによる加入件数の累計自体は伸び続けているものの、新規の契約件数の成長スピードは鈍化してきています。

さらに当初インターネットを活用した生命保険の加入件数の半分以上をライフネット生命が占めていましたが、2014年に大手保険会社としては初となる住友生命が参入。住友生命小会社のメディケア生命保険がネット生保を開始しました。大手の安心感に加え、保険料は定期死亡保険で住友生命本体よりも3~5割、医療保険で2~3割安く、さらには定期保険は業界最安値だったライフネット生命を下回るプランを導入する等、競争を激化させていきます。

その後、ネット証券では最大手でもあるSBIグループも参入するなど、ますます競合は激化しています。

そんな中、ライフネット生命の業績を見てみましょう。

ライフネット生命の業績

売上推移

売上

競争激化により、市場における新規加入件数シェアは落ちているものの、ストック型のビジネスモデルなこともあり、売上は右肩上がりに成長しています。

経常損益推移

利益

また経常赤字が続いていたことが、生命保険に必要な安心感にとってマイナスに働いていたと思いますが、15年度についに黒字化を達成します。

2013年に共同創業者でもある岩瀬大輔氏が代表取締役社長に就任してから、コスト削減・効率化をさらに徹底して進めていたようですが、その効果もあったようです。

決算サマリー

決算サマリー

黒字化を達成、営業キャッシュフローも大きく伸びていますが、やはり懸念は新規契約件数の成長率が落ちていること。インターネット生命保険市場の鈍化、シェア争いの激化に対してライフネット生命はどのように対抗していくのでしょうか。

続いて事業面を見ていきたいと思います。

ライフネット生命の事業状況

事業戦略概要

事業戦略

全体的に上記3つの戦略があるようですが、まずはインターネット直販から見ていきます。

スマートフォンの活用

スマートフォンの活用

やはりスマートフォンの活用から。面倒な各種証明書のコピーや郵送の手間を省き、スマホで送付できるように対応しています。

無料保険相談チームの拡大

保険無料相談

対面販売がまだまだ好まれる生命保険市場において、しっかりと説明が行き届くように無料保険相談チームを拡大し、相談件数が1.7倍にも伸びています。

引受・受取人の範囲拡大

引受や受取人の範囲拡大

年収150万円超のフリーター・アルバイト・パートも申し込み可能に、また同姓のパートナーも指定範囲に含めることで、ターゲットとする顧客層を拡大しています。

提携強化

提携戦略

対面販売の強化としてほけんの窓口との提携、またなんといってもキャリアチャネルの強力なKDDIとの提携が今後、業績にどこまで寄与するのかがポイントでしょう。

KDDIとの業務提携内容

KDDIとの提携 auの生命保険

ネット関連企業との提携に積極的なKDDI。保険はライフネット生命と提携しました。過去、KDDIと提携することで、ガラケー時代にはauのWEBポータルからの集客によりDeNAがモバオクを成長させたり、GREEがゲームを成長させたりと効果を発揮しました。

ライフネット生命の場合は、WEBポータルではなく、auのリアル店舗をどう活用できるかがポイントでしょう。4月より本格的に開始したauの生命保険はさっそく効果が出ているようで、ライフネット生命の月次申込件数を見てみます。

月次申込件数

月次申込件数

auの生命保険を本格開始した4月は過去1年間で最高の申込件数を達成したようです。具体的なauの生命保険単独の数値はわかりませんが、ネット関連企業のキャリア店舗シナジーの成功事例となってくるかもしれませんね。