はてなのオワコン論に終止符?決算分析したら3事業が全て成長してたが何かが足りない

シェアする

2016年2月24日にマザーズに上場した株式会社はてな。多くの人は「はてなブログ」や「はてなブックマーク」を思い浮かべるだろう。

上場当時、売上(2015年7月期)は10億9457万円、営業利益は1億7286万円とIT業界の中で知名度が高い割には業績は小粒な印象で、本当に上場する意味があるのか?などと批判的なコメントが相次いでいた。

現在はどのような状況か2018/03/20に開示された決算説明資料を見てみよう。

スポンサーリンク

はてなの個人向けサービス

まず前提としてはてながどのような事業を行っているかご存知だろうか?3分野あるのだが、1つ目はユーザにはわかりやすい「個人向けサービス」。

冒頭述べた「はてなブログ」や「はてなブックマーク」が代表的なサービスで、はてな社は「コンテンツプラットフォームサービス」と呼んでいる。

コンテンツプラットフォームサービス

180411hatena-contents

以下資料部分は、はてな社のIR資料より

はてなの個人向けサービスと言えば、2001年にサービスを開始した「人力検索はてな」が当時日本では先行し、いわゆるナレッジコミュニティサービスとして人気となった。

180411jinrikikensaku-hatena

競合としては同時期にサービスを開始していたオーケーウェブ社の「OKWebコミュニティ」で、gooなどのポータルサイトにシステム提供し、お互いシェア争いをしていた。

しかし3年も後発だが、2004年にYahoo!が「Yahoo!知恵袋」を開始。あっという間にシェアはYahoo!が圧倒的になってしまった。

そんな翌年に始まったのが「はてなブックマーク」だ。

180411hatebu

ブックマークサービスは1990年代の後半に米国でいくつもあったが、代表的なのは2003年に設立されたdel.icio.us(現在はDelicious)。初めてタグ付けを導入し、ソーシャルブックマークという言葉ができた。

はてなブックマークはその仕組みを参考にし、開始したのだと思う。

そして今や個人向けサービスではてなを代表するサービスの一つとなった「はてなブログ」。

180411hatena-blog

2013年1月当時、多くの人が驚いた。

はてなと言えば元々「はてなダイアリー」というブログサービスを提供しており、さらに当時はAmebloやライブドアブログ、FC2などのブログサービスが先行。ただどちらかというと、あまりアクセスがこないという印象を持つユーザが多く、ブログサービスの勢いは衰えていたからだ。

そんな中、SEOに強くシンプルで、執筆を助ける機能が充実した「はてなブログ」はその後急成長。少なくともITリテラシーが高く、Wordpressを使うまでも無いけど何か書きたいという男性ユーザは「はてなブログ」を選択することが多いだろう。

ビジネスモデル

180411hatena1

サービス上のアフィリエイト広告の他、「はてなブログ」や「はてなブックマーク」など、それぞれ有料プランが用意されている。

追記:はてブの有料プランは1年程前に終了してましたm(_ _)m

例えば「はてなブログPro」は独自ドメインが使用できたり、ページデザインの自由度が高くなる。広告収益のみの無料ユーザが大半だが、一部の有料プランユーザからの収益がこの事業を支えていると言っていいだろう。

ユーザ利用の動向

180411hatena-user

登録ユーザ数は累積なのでほぼ右肩上がりに伸びるが、その成長率が上がっているのと月間ユニークブラウザ数が上昇しているのがポイントだ。

一時は「はてなはオワコン」と言われたが、2013年に開始した「はてなブログ」と「はてなブックマーク」がうまく相乗効果でユーザを伸ばし、利用者が着実に増えているものと見られる。

はてなの法人向けサービス

180411hatena-houjin

次に法人向け事業は「コンテンツマーケティングサービス」と「テクノロジーソリューションサービス」がある。

簡単にいうと「コンテンツマーケティングサービス」は「はてなブログ」のようなメディアを法人向けにはてなが構築してくれるサービス。法人によるオウンドメディアと呼ぶケースが多いが、そのサイト構築や運用、コンテンツの拡散までを支援してくれる。

そしてテクノロジーソリューションサービスは、さらにシステムの複雑な電子書籍のコンテンツ配信サーバや閲覧ビューア付きなど、開発が大掛かりになる仕組みをはてなが受託するイメージだ。

それぞれ見てみよう。

コンテンツマーケティングサービスのビジネスモデル

180411hatena2

法人向けサービスの場合、個人向けと同様に広告収入がはてな側にも入るのと、メインはシステム利用料やコンテンツ作成支援料だろう。自社の情報発信をしたいと考える企業が、システム構築や記事更新、さらにその情報を拡散したいと考えると、費用も時間もかかる。それをはてなが全面的にバックアップする形だ。

コンテンツマーケティングサービスの導入事例

180411hatena3 180411hatena4

テクノロジーソリューションサービスのビジネスモデル

180411hatena5

あまり知られていないが、このテクノロジーソリューションサービスははてなの中でも安定した売上を確保する事業として、ここ数年で成長している。

代表的なのは集英社の漫画投稿サイト「ジャンプルーキー」や、KADOKAWAの小説投稿サイト「カクヨム」だろう。特にKADOKAWAは合併したドワンゴのシステム開発力を考慮すると、自社開発しても良さそうだが、はてなに運営委託をするほど信頼は厚い。

その他、広告配信事業者向けの「BrandSafe はてな」、監視ツールである「mackerel」も事業者のニーズを汲み取り、導入社数を伸ばしている。

はてなの事業の成長

ここまで紹介したはてなの3事業。個人向けの「コンテンツプラットフォームサービス」、法人向けの「コンテンツマーケティングサービス」「テクノロジーソリューションサービス」。

それぞれの売上推移は以下の通り。利用者を着実に伸ばし、既に上場した2015年7月期から今期、2018年7月期で売上は倍増する見込みとなっている。

営業利益も以下のグラフには記載が無いが、上場した2015年7月期の1億7200万円から既に昨年2017年7月期で3億5200万円と倍増している。

180411hatena6

この成長も以下のグラフのように3サービスがうまくシナジーを生み出しているからだろう。

180411hatena7

ここまで見て、はてなのサービスが順調に売上・利益を伸ばしているのがわかったと思う。

ただ売上・利益はこの2~3年で倍増しているにも関わらず、株価は半分にまで落ち込んだ。一体、どうしてなのか。

何かが足りない

スマホの普及で急成長するIT企業が多い中、はてな社のこの売上スケールでこの成長はまだまだ物足りないと考える投資家が多数。その要因もあるだろう。

ただこれまで非上場であらゆる情報が非公開だったが、上場してからは様々な情報が開示されるようになった。そこに投資家は堅実な成長を目指すはてな社のスタンスを感じているはずだ。

2001年7月に近藤淳也氏が創業した「はてな」。創業期に新しいサービスを生み出し続け、社内に「アイデア箱」や当時はまだ珍しかった「フリーアドレス制」など、独特な文化は話題となり、近藤氏自ら「へんな会社」と称するほどだった。

当時のワクワク感のあったはてなに比べて、今のはてなは堅実であり、正直ワクワクしなくなってしまった。

そんな近藤氏は2017年10月26日にはてなの代表取締役会長を退任。非常勤取締役として留まっているが、「物件ファン」というサイトの事業の譲渡を受け、新会社を設立。

現在はこの事業に注力しているようだ。

近藤氏にとっては、第2の創業。また昔のようにワクワクするサービス、会社をつくってほしい。

スポンサーリンク