海賊版サイトが問題の中、電子コミックストアのトップ2社が資本提携!?めちゃコミック・Renta!連合の狙いとは

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一時期のモバゲーやGREEほどまでではないが、頻繁に見かけるようになった電子コミックストアのCM。「めちゃコミック」「Renta!」「コミックシーモア」「まんが王国」「DMM電子書籍」など一部は有名タレントなどを起用するなどして、TVで見かけない日は無いほどになってきている。

そんな電子コミック市場において、大きなニュースが飛び込んできた。3月28日に「めちゃコミック」を運営するアムタス社の親会社であるインフォコム社が「Renta!」を運営するパピレス社の株式9.83%を取得すると発表したのだ。両社は今後の協業の可能性に向けて協議中だという。

この2社は電子書籍ストアの中でも特にTVCMを見かけることが多い上位2社。競争してきた2社に一体何が起こっているのだろうか。

まずは電子書籍市場の状況から見てみよう。

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電子書籍市場の状況

紙の出版市場の衰退

失われた出版市場

引用パピレスIR

紙の出版市場は1996年の2兆6,563億円をピークに減少傾向。多くの書店も潰れている。

2016年には1兆4,709億円と、なんと44.6%もの市場が失われたことになる。

電子書籍と電子雑誌の市場規模推移

電子書籍と電子雑誌の市場規模推移

引用インフォコムIR

一方、電子書籍や電子雑誌の市場規模は右肩上がり。電子雑誌はやや遅れて伸びてきている印象だが、最近ではドコモのdマガジンや楽天マガジンなど月額400円ほどの定額で読み放題というビジネスモデルが当たり、大きく市場が伸びてきた。

電子書籍の市場環境

電子書籍市場の推移(雑誌を除く)

引用ビーグリーIR

今度は先ほどの市場から電子雑誌を除き、電子書籍のみの市場の統計の数値。

上記の図にあるとおり、電子書籍市場とは言ってもコミックが82%のシェアを占めている。

政府は4月13日、「漫画村」など3つの海賊版サイトに対するアクセス遮断をインターネット事業者(プロバイダー)が自主的に実施することを促す決定をしたが、少なくとも有料の電子コミック市場は成長を続けていることは覚えておきたい。

コミック市場の環境

電子コミック市場の状況

引用ビーグリーIR

そして紙と電子を合わせたコミック市場の全体。

2010年(平成22年)は電子コミックが市場全体の11%だったのに対して、2016年(平成28年)は35%を占めるにまで至っている。昨年にはコミック誌を除いた電子コミックとコミック単行本の規模を比較すると、初めて電子コミックが上回った。

電子コミックの牽引によってコミック市場は全体としてついに下げ止るどころか、増加に転じてきた。

またこの統計にはcomicoやマンガZEROといった広告で売上を上げるビジネスモデルは含まれておらず、無料マンガアプリを含めればさらに市場は成長しているだろう。

電子書籍ストアの状況

続いて電子書籍ストアの売上の概況を見てみよう。インプレス社が発表した「電子書籍ビジネス調査報告書2017」によると、各電子書籍ストアの売上についてめちゃコミック等を運営するアムタスが180億円、Renta!等を運営するパピレスが141億円、BookLive!を運営するBookLiveが116.5億円、NTTソルマーレが運営するコミックシーモアが100億円以上とされている。

またイーブックイニシアティブのebookjapanが67億円だ。

AmazonのKindleストアは各出版社へのヒアリングで売上はほぼ例外なく最上位といい、2位以下とも相当の開きがあるとされている。その他、楽天Kobo電子書籍ストアやauが提供する「ブックパス」が好調だという。

また、決算資料によると先日、東証一部へ市場変更を発表した「まんが王国」を運営するビーグリー社は89億円、LINEマンガは115億円となっているようだ。

日本でトップクラスと思われるKindleや楽天Koboなどの売上の詳細が不明なので定かではないが、判明している中で少なくとも電子コミックにおいてはめちゃコミックのアムタスとRenta!のパピレスが売上1位・2位と続いている。

そんな2社が資本提携を実施した狙いは何だろうか?

めちゃコミックの戦略

めちゃコミックの戦略

引用インフォコムIR

TVCMを頻繁に見かけるめちゃコミックは特にスマートフォン上ではバナー広告も見かけることが多い。顧客獲得のためもあるが、そのプロモーションによる作品売上上昇効果を利用してめちゃコミックの「独占先行配信」の権利を獲得するという意図もあるようだ。

インフォコムは上場企業の中で年間広告費が直近で61億円で142位。既にGREEの51億円(158位)を上回っている。さらにパピレスも広告費は大規模で42億円と177位につけている。

仮にこの2社の広告費を合わせると103億円(103位)にまで上昇。2社で協力することで、これまでより独占先行配信タイトルを確保できるようになるだろう。(もちろん2重広告の兼ね合いで共同CMは難しいが、出版社への交渉は2社協力して可能だろう)

現在協業内容は協議中とのことだが、多額の広告宣伝費を利用した展開も狙いの一つとしてあるだろう。

めちゃコミック・Renta!共に認知率はトップクラス

電子コミックストアの認知度

引用パピレスIR

めちゃコミックもRenta!も上記のアンケートにあるように、マンガ好きのユーザの中では純粋想起・認知率共にベスト3に入っている。確かに電子コミックという分野だけに絞ればKindleよりもこの2社に分があるかもしれない。

「漫画村」などの海賊版サイトが社会問題化する中、こうした有料の電子コミック市場は健全に伸びている。また権利の許諾を正式にとった無料の電子コミック市場も成長中だ。

その市場の中で今回資本提携を発表した2社は抜きん出た存在になることができるのか。今後の動向に注目だ。

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